あなたの好きなところ


 2005年 2月 5日、6日 歌舞伎座 昼の部

 まず、はじめに、謝っておかねばなりません。  ごとさん、あなたは、ごとべえさんじゃなくて、ごとびょうえさんだったんですね。  どちらの読みも間違いじゃないけれども、心の底から「ごとべえさん」だと思っていました。    あと、漠然と弁慶上使みたいな、顔と拵えかと想像していたのに、普通の武士の姿でした。 顔も薄化粧ですし。お目見えなんで裃つけてましたけど。(なんか、気の抜けた由良之助みたい。。(^_^;)) 下手の奥からぱたぱた登場には、びっくりしてしまいました。そうか、こういうのか。 近いところでは、團十郎さんがされてて、そいういえば歌舞伎chで前に放送してたかも。 んでも記憶になし。ふうん。
 チラシの裏の粗筋読んでもいまひとつわかんなかったんだけど、実際に舞台を観たらまあ筋は簡単でした。 義経さんの周囲に良いとりまきと悪いとりまきがいて、義経さんは悪いとりまきにのせられちゃって 遊興三昧なんですって。で、良い方は(六郎さんと三郎さん)  「ったく、しょーがねーなー。大丈夫なのかよ、いや全然大丈夫じゃねーよ、鎌倉方はやる気よ。 もう攻めてくんぜ。兄弟だからって容赦しねーよ。だからさ、ちょっとデキル軍師の五斗を抱えてさ 鎌倉方に備えなきゃやばいっつーの。」 悪い方は(太郎さん!次郎さん!) 「だいじょぶっすよ。御曹子のが人気もあるっすよ。鎌倉殿なんて人気ないしぃ、アニキだっても、  北条氏の後ろだてがあっから、のしてるだけっすよ。のーぷろのーぷろ、さ、遊びましょうぜ御曹子」 って様子。  で、軍師としてお目見えするはずの、ごとさんを、「あいつ、酒に目がねーらしいからさ、義経っちに 会う前にガンガン飲ましてへべれけにしちゃってつぶしちゃおうぜ」と、太郎さん!次郎さん! ほいで、君からくだされた御酒だから、ま、一献あがれ→いや、お目見え済むまでは。→なーんもさ、一献くらい と延々と続き、結局、一気呑みの連打でつぶれちゃって、酔い機嫌でサンバ(三番叟)を踊り狂って 人馬に乗って引っ込んじゃうの。
 面白いか、面白くないかって問われたら…うーーーーーーーーーーん。微妙。。 なんか、この場面だけ観ると、前にも酒でしくじって失職しちゃって、結局、また酒でしくじっちゃって、 しくじったのに踊るだけ踊って去っていっちゃうって、どうなのかしらん。これって喜劇だったのかしらん。 チラシの裏の粗筋を読むと 「義経に心の中で非礼を詫びて去っていく」みたいなこと書かれてんだけど、全然わかんなかった。 わかんなかったけど、ダメ男さんのくせに、それなりに大きくてかっちょよくて、そんなに酒好き大酒のみに は見えないし、つい心の中で… いつ、見顕しするわけぇ!?  と絶叫してしまいましたわさ。 いへね、5日に観たときは、三階東袖からで表情見えにくいとこもあったわけ。で、今日6日はかぶりで 観てたので表情はよっく見えたわけ。 芝居はもちろん上手い。表情も細かいし、勧められても我慢して、喉元がぐびぐびしてるのもはっきりわかるわけ。 “軍師”には見えないけど、ま、今は浪人してるわけだから、こんな感じでもいいのだろうけど なんか中途半端なのねぇ。なんていうのかしら、私の印象としては、 「平和なときの由良之助」みたいな印象。だから、肚に一物が絶対あるはずだと勝手にインプットされている 私の脳。 踊ってるときもところどころ、造り遊蕩の由良さんが遊んで踊ってるように見えたりもして。 突き抜けてすっとぼけてて天然に、大酔いどれさんに見えないし、大蔵さんみたいに造ってるわけでもないようだし でも、このまま、酔っぱらって踊って帰るだけじゃないよなあと思いながら観てましたら、酔っぱらって踊っただけで 帰ってしまいました。「心の中で義経に非礼を詫びて」るように全然見えなかった。 かけつけ三杯で、いい加減になって、四杯目から目が座って、滝呑みして、太郎さん!次郎さん!で、座敷で酔いが回る ようにぐるぐるされちゃって、それなりにおかしかった。おかしかったけど、私の心中では… まだ、見顕ししないのぉ!?(しないってば)
 生真面目に大振りに一所懸命に踊っていて、動く吉さまを見ているのは楽しいのだけれど、 嬉しいのだけれども。確かに、こぼれるように魅力的に可愛らしいのだけれども。 播磨屋は踊りはそんなに…以下省略… って噂もちらほらあるけど、大好きですよ。吉さまの踊りは。でも、なんか、すっきりしないわあ。 それなりに楽しかったのだけれども、なんか心中がもやもやするわあ。 …私… ドラマな吉さまに飢えてます!悲劇の吉さまに逢いたい! きんぐおぶ苦悩カムバーーーック!
 あの舞台面を見て、大蔵さんに逢いたくなり、顔の拵えで、四段目の由良さんを切望し、座敷で見得して決まった ときは、クマちゃんを思い出し、しもべさんたちと絡むとこでは、嗚呼、これが、樋口さんや知盛さんだったらと 夢想し、とにかく、血を吐くような、それでいて耳に心地よく、心はゆっさゆさ揺さぶられて、がっしがしとわしづかみ されて、心身ともにぐったりきゅううぅになってしまう、吉さまの… きんぐおぶ苦悩なお役に逢いたいのーーーっ! クマちゃんのものがたりが聞きたいの。四段目の苦悩と決意で城を去る、由良さんの朗々とした台詞を聞きたいの。 なんでもいいから、きんぐおぶ苦悩吉さまに逢いたいのーーー!もう限界。。。 二日連続で五斗さんとお目にかかって、観てるときも今も、一番強く感じて願ったのはそれでした。 これで、昼にごとびょうえさんで、夜に重〜い義太夫の大悲劇があれば言うことなかったんですけどねぇ。 いやほんとに、五斗さんもチャーミングだったんですけどねぇ。 そして、腑に落ちないまま、歌舞伎手帖を読んでみましたら、その後に「鉄砲場」ってのがあって 「五斗兵衛はここではじめて英雄の本性をあらわす」って書いてあるじゃないですか。。 そこまでやってよ〜ん。(涙)
 そんなわけで、三月はお休み、五月は未定な吉さまですが、きんぐおぶ苦悩な吉さまに逢いたさ1000% ですので、こんぴら歌舞伎に遠征します。(自分への大義名分(^_^;))    2005年2月 6日 記  寝ても醒めても 表紙へ